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JB Press The Economist:英エコノミスト誌 2013年3月16日号
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37390
中国の一人っ子政策、ついに見直しか?
中国は一人っ子政策の廃止に向けた長い最終局面に入ったのかもしれない。
専門家は、どれだけ早く打ち切ろうと遅すぎるくらいだと話している。
この30年以上にわたり、中国の一人っ子政策を執行する官僚は、中国国内で最も数が多く、最も嫌われる役人の部類に数えられてきた。
3月10日に発表された政府機構の改革の後、彼らはその権力の大半を失うことになる。
問題は、これが一人っ子政策そのものの終わりの始まりなのかどうかだ。
この知らせは、3月17日に閉幕した全国人民代表大会(全人代=国会に相当)の席上でもたらされたもので、政府はその場を利用して他の省庁統合も発表した。
中国の鉄道を建設し、規制する鉄道省は分割され、一部の権限はより大きな交通運輸省に統合される。
食品の安全とエネルギーを管理する部局は刷新される。今回の再編により、海洋問題に携わる向こう見ずな各種機関は従来より厳しく監督されることになる。
■数世代にわたって残る社会的・経済的損失
しかし最も興味深い機構改革は、人口増加を管理するためだけに創設された家族計画委員会を衛生省と統合し、新たに国家衛生・計画出産委員会を創設するというものだ。
当局は、これは一人っ子政策が間もなく終わることを意味するものではないと断言している。
だが、一人っ子政策に対する国民の目は厳しくなっており、緩和や撤廃を求める圧力も高まっている。
中国の人口統計学者は、一人っ子政策がもたらす社会的・経済的損失は今後数世代にわたって実感されることになると話している。
労働人口は減少しており(2012年は345万人減り、ほぼ50年ぶりの減少に転じた)、納税者と年金受給者の比率はほぼ5対1から、2030年には辛うじて2対1程度まで低下する(上図参照)。
親の面倒を見る子供の数は少なくなっている。
上海は中国が直面する人口動態の時限爆弾の好例だ。
上海の出生率は「0.7」と、世界で最も低い部類に入る。
人口統計学者で、北京にあるブルッキングス清華公共政策センターの主任を務める王豊氏は、世論がいずれこの政策を終わらせることになるだろうし、政府の機構改革によってカウントダウンが始まったと考えている。
家族計画委員会に雇われている50万人ほどの職員――王氏が一人っ子政策の「修行僧」と呼ぶ人たち――が「寺院を失った」と同氏は言う(少し気が早いが)。
さらに、衛生省の職員は家族計画委員会の職員よりもずっと有能なため、家族計画担当者の方が仕事を失う可能性が高いという。
■まだ廃止をためらう政治家
だが、これが起きるのは政治家が一人っ子政策の廃止を決めた場合に限る。
そして今のところ、政治家は廃止に抵抗している。
専門家の中には、一人っ子政策を廃止しても実際にはほとんど影響はない見る向きもある。
調査によると、都市部在住の多くの親は、いずれにせよ子供は1人でいいと考えている。
しかし政治指導者はまだ、そのような改革は突然の人口急増を招くと懸念しており、人口統計学者の嘆願をよそに一人っ子政策を固守してきた。
上海社会科学院の左学金氏は
「この政策は無用だ。中国はもう、一人っ子政策を必要としていない」
と話している。
左氏は、次の段階として夫婦が子供を2人持つことを認めるべきだとしている。
だが、指導部にとっては、それでもまだ急進的過ぎるかもしれない。
一人っ子政策には既に例外が設けられており、中国全土で夫婦がともに一人っ子である場合、農村部では第一子が女児だった場合、そして少数民族の場合が例外となっている。
この2年間、家族計画委員会は夫婦のどちらかが一人っ子の場合も例外とする新しい案を試行したいと考えてきた。
これはごく一部の州と都市に適用される控えめな提案だったが、それでもトップレベルの承認を得られなかった。
雑誌「財経」は、政府の機構改革の後、出生率が低い地域でこの実験が行われる可能性があると報じている。
一方、国営メディアでは、次第に明らかになる一人っ子政策の影響が公然と議論されている。先日は、そうした社会問題の1つ――唯一の子供を亡くした高齢の親――が国営テレビで大きく取り上げられた。
復旦大学の任遠氏の試算では、その不遇に見舞われた中国世帯は1000万世帯に上り、上海では最大30万世帯に及ぶという。
任氏は、このような社会問題を生む一端を担った政府は、問題を管理する責任を負うべきだと話している。
子供を亡くした親を支援する団体が2003年に上海の墓園で結成された。
親たちは、墓に人形や玩具を飾った子供のための特別区画で互いの存在に気付いたという。
ある墓石はデスクトップパソコンの形をしている。
支援団体の集まりで最も聞かれる心配の声は、年を取った時に誰が自分たちを支えてくれるのかということだ。
■国民の間で高まる不満
この団体は2005年に非政府組織(NGO)として登録したが、それも当局の反対を乗り越えた末のことだった。
官僚たちは、子供を亡くした家族が一人っ子政策への反対運動を煽ろうとするかもしれないと危惧したのだ。
たとえ家族がそう望んだとしても、彼らに限った話ではない。
国営メディアやミニブログは最近、強制的な後期中絶が行われた恐ろしいケースの報道を取り上げており、一般市民の怒りが噴出し、一人っ子政策の廃止を求める声がいよいよ高まっている。
絶対に揺るがなかった国家管理の支柱は、突如脆くなったように見える。
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英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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【中国はどこへむかうのか】
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