2013年3月31日日曜日

日米露の資源開発、世界エネルギー構造の不確定要素に



●29日、風力エネルギーなど再生可能エネルギーの発電範囲が広まりを見せている。これにシェールガスやメタンハイドレートなどの新エネルギーの開発が加わり、世界の新たなエネルギー構造が全貌を見せ始めている。資料写真。


レコードチャイナ 配信日時:2013年3月31日 10時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=70851&type=0

日米露の資源開発、世界エネルギー構造の不確定要素に―中国メディア

 2013年3月29日、風力エネルギーなど再生可能エネルギーの発電範囲が広まりを見せている。
 これにシェールガスやメタンハイドレートなどの新エネルギーの開発が加わり、世界の新たなエネルギー構造が全貌を見せ始めている。
 あるエコノミストは、
 「今後10年間で、新たなエネルギーを発見しこれを獲得した国が、未来の世界経済をリードするだろう」
と予想した。証券時報が伝えた。

■米:シェールガス革命は複製不可能か?

 オバマ大統領はこのほどイリノイ州で、就任以来初となるエネルギー政策講話を発表。代替エネルギーの重要性を強調し、エネルギー使用の効率アップを奨励した。
 今後10年間で20億ドルの信託基金を捻出し、米国の先進的な電気自動車バッテリー、バイオ燃料電池、水素燃料電池などの研究開発に充てる方針だ。

 オバマ大統領は、
 「中国・ドイツ・日本が相次いで新エネルギーに投資する中、米国が何もしなければ多くのチャンスを失うだろう
と語った。

 米国本土では近年、シェールガスなどの新エネルギーの開発が進んでいる。
 米国の昨年の原油輸入量は、過去15年で最低水準となった。

 OPECは報告書の中で、シェールガスとシェールオイルの発展は世界エネルギー構造の再定義に対して全面的な意義を持つとした。
 米国では2010-2012年の間に、シェールガスの生産量が約60%増となった。

 アナリストは、
 「米国は2020年までにエネルギーの自給自足を実現する可能性がある。
 これにより川下の関連企業の発展が促進される。
 エネルギーコストの低下は、米国経済の成長にとっても有利だ」
と指摘した。
 ゼネラル・エレクトリックのイメルトCEOもまた、世界のシェールガス革命が到来したと述べた。

 米ウォール・ストリート・ジャーナル誌は、
 「シェールガス革命により米国エネルギー産業が活性化し、企業と消費者も割安なエネルギーを供給され、経済成長が促される」
と伝えた。
 しかし北米のみならず、その他の地域にも大量のシェールガスが埋蔵されている。
 各国の政府・エネルギー企業もまたシェールガスの開発を検討しているが、各国の政府・企業は米国のシェールガス革命を複製する際に、環境問題の懸念、開発・輸送のインフラ不足といった課題に直面している。

■露:東か西か?

 世界の各社は現在、米国のシェールガスに巨額の資金を投じ、利益を得ようとしている。
 米国はシェールガスの生産量の急増により、エネルギーの自給自足を実現できるが、同時に世界エネルギー構造を破壊し、ロシアを落伍させている。

 ロシアの天然ガス・石油・石炭の埋蔵量は、これまで世界トップ水準を維持してきた。
 優れた自然条件を持つロシアは、再生可能エネルギーを発展させる条件と潜在力を持っている。
 しかし伝統的なエネルギーに対する過度な依存、制度面の遅れや人材不足などにより、ロシアの新エネルギー発展は欧米諸国に大きく遅れをとっている。

 このほど中露両国はエネルギー提携、特に石油供給と天然ガスのパイプライン建設の面で画期的な進展を実現し、さらに液化天然ガスの供給契約を結んだ。

 世界格付け機関のフィッチは、
 「中露の一連の天然ガス・石油供給契約は、ロシア天然ガス大手・ガスプロムおよびロシア国営石油会社・ロスネフチにとって非常に有利な出来事だ。
 エネルギー輸出の多元化により、ロシアはエネルギー大国の地位をさらに固めることができる」
と指摘した。
 独週刊誌フォークスは、「欧州は横っ面を張りつけられた」とした。

 欧州はロシアの天然ガスの主要販売先であるが、双方はエネルギー問題をめぐり深刻な対立に陥っている。
 しかしアナリストは、
 「ロシアが最も重視している顧客は、依然としてEUとその他の欧州諸国だ」
と述べた。

■日本:メタンハイドレートでエネルギー自給を実現か?

 米国は近い将来にエネルギー独立を実現できると言っており、これは白昼夢ではないが、日本というエネルギー面で安心感を得たことのない国がエネルギー独立のスローガンを叫ぶならば眉唾ものだ。
 しかしメタンハイドレートは日本に大きな希望をもたらしている。

 経済産業省はこのほど、メタンハイドレート(俗称は燃える氷)から天然ガスを取り出すことに成功したと発表した。
 海底の水化物を分解し天然ガスを採取したのは世界初のことだ。
 これを受け、日本によるメタンハイドレートという新エネルギーの開発が一歩前進した。
 日本側は
 「エネルギー不足の日本にとって、メタンハイドレートは次世代国産燃料になり、日本の100年間の天然ガス需要を満たすだろう」
としている。

 データによると、日本付近の海域のメタンハイドレート埋蔵量は7兆立方メートルに達する。
 現在の消費量によって計算するならば、この埋蔵量は日本の1世紀分の自給自足を実現できる。
 しかし経済面から見ると、メタンハイドレートの実用化はまだ遠い先の話だ。

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の推算によると、1立方メートルのメタンハイドレートから天然ガスを採取するためには、46-170円の費用がかかるという。
 これは米国の天然ガスの1立方メートル当たり10円という開発コストを大きく上回る。

 メタンハイドレートは世界各地に広く分布しているが、これを開発する場合は温室効果、海底地層の崩壊、海洋環境バランスの破壊といった影響がある。
 メタンハイドレートの開発に興味を持つ各国は、メタンハイドレート開発の成熟した方法を積極的に研究している。

 米国でこのほど起きたシェールガス革命を加味すると、メタンハイドレートの開発利用により天然ガス市場の供給源がさらに増加することから、世界エネルギー市場の構造が将来的に変化する可能性がある。

■専門家の意見

 シティグループのエネルギー戦略担当者:今後10年間で、中東を始めとする石油発電の役割を、天然ガス発電所が代わりに果たすことになる。
 世界の自動車・トラックの燃費が改善され、石油の代わりに天然ガスが用いられるようになる。
 ブレント原油先物価格は1バレル当たり80-90ドルを推移するだろう。

 クレディ・スイス:石油天然ガスの生産・サービス会社、製鉄・化学工業・肥料・設備・代替エネルギーなどの各社が、米国のシェールガス革命から利益を得ている。
 また、米国のシェールガス生産量の急増により、石油関連商品が大口商品市場と製造業に流入しており、エネルギー業界の構造を変えた。

 ゴールドマン・サックスのチーフエコノミスト:2008年の金融危機前と比べ、割安な天然ガス価格は米国経済全体に大きな変化をもたらしていない。

 ロイヤル・ダッチ・シェル:豊富なシェールオイル・ガス資源を持つ中国は、旺盛なエネルギー需要と十分な資金力を背景とし、数年内にシェールガス開発が進展を実現する可能性がある。
 世界的に見ても、中国は北米以外では最も理想的な開発エリアだ。

(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/TF)



サーチナニュース 2013/03/30(土) 16:59
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0330&f=business_0330_009.shtml

日本に十数年の遅れ、わがメタンハイドレート研究開発=中国

  経済産業省はこのほど、三重県沖の海底でのメタンハイドレートの試験採掘でガスの採取に成功したと発表した。
 海底のメタンハイドレートからのガス採取は世界初となる。
  中国網日本語版(チャイナネット)によれば、中国のメタンハイドレートについての研究開発は日本に十数年の遅れがあるという。以下は同記事より。

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  エネルギーの浪費やその対外依存度を減少させたいと考える中国にとって、今回の日本の試験採掘の成功は教訓となるものであり、また、中国のメタンハイドレート研究開発に警鐘を鳴らすものである。

  中国科学院広州エネルギー研究所の副所長で、中国科学院広州ガスハイドレート研究センターの常務副主任である呉能友氏は取材に対し、新エネルギーにおいてメタンハイドレートは重要な地位を占めており、日本など先進国との技術水準の差がさらに広がれば、今後のエネルギー構造に深刻な影響を及ぼしかねないと指摘した。

  メタンハイドレートは、凍土地域や水深400メートル以上の海底に沈殿しており、うち海底のものが99%を占める。
 「現在、陸地にせよ海底にせよ、メタンハイドレート採掘技術は日本が世界一だ」
と呉能友氏は指摘する。

  クリーンで高効率な天然ガス資源の1つとして、日本やロシア、アメリカ、カナダなどでは1980年代から陸地と海洋のメタンハイドレートの研究が進められてきた。
 世界的に見れば、米国政府は最近の不景気から開発費を削減させてきたが、日本政府は一貫して巨額の開発費を投入し続けてきた。
 それは国土の資源不足に加え、福島原発事故後の原発推進の停滞が関係している。

  中国投資有限制責任公司顧問・エネルギー業界研究員の任浩寧氏は取材に対し、
 「日本の成功はほかの国家や企業に対し、大切な教訓を与えている」
と述べている。

 長期にわたってメタンハイドレートの研究をしてきた呉能友氏は、今回の採掘は地球深部探査船「ちきゅう号」が使用されたと解説する。
 採掘は水深約1180メートルの地点で行われ、海底下260メートルを掘った。
 実験エリアでは採掘穴1カ所と、観測穴3カ所の計4カ所が掘られた。
 埋蔵量は日本全国のエネルギー消費量の14年分だと推定される。

■はるかに遅れている中国

  現在、技術的に未熟であることと費用が高すぎること以外にも、メタンハイドレート採掘の安全性が争点となっている。
  こういった懸念に対し呉能友氏は、科学技術の発展につれて、これらの問題も最終的には解決できるとの見方を示す。
 「クリーンエネルギーであるメタンハイドレートは今後徐々に既存の化石エネルギーの代わりになっていくことは疑いない」。

  大気汚染がますます悪化し、石炭を主なエネルギー源とする構造を早急に変えていかなければならない中国だが、メタンハイドレート研究開発は日本にくらべて十数年の遅れをとっている。
 日本の21世紀初頭のレベルに過ぎないと、呉能友氏は指摘する。

  すでに1990年に、中国は国外のメタンハイドレート採掘の研究開発に注目し、2002年には正式に南シナ海北部海底でメタンハイドレート資源調査をスタートさせている。
 ただし当時、日本ではすでにカナダと共同で陸地におけるメタンハイドレートの試掘を行っていたのだ