2013年3月31日日曜日

モンゴル紙への安倍総理寄稿文:モンゴル訪問へ

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●モンゴル訪問



首相官邸 平成25年3月29日
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/discource/20130329_mongol.html

モンゴル紙への安倍総理寄稿文

 明日から、私はモンゴルを訪問する機会を得て、エルベグドルジ大統領及びアルタンホヤグ首相、エンフボルド議長と意見交換をいたします。
 まだ寒さが残るモンゴルを訪れ、桜の花咲く日本の息吹を両国関係にもたらしたいと考えました。

 日本とモンゴルは、2010年に「戦略的パートナーシップ」の構築を共通の外交目標として掲げました。
 以来、両国は着実に協力と交流を積み重ね、「戦略的パートナーシップ」を推進してきました。
 そのような両国関係を支えるものは何でしょうか?
 私は、自由と民主、平和、助け合いの「3つの精神」ではないかと思います。
 そして、そのような精神に支えられた両国関係を飛躍的に発展させたいと思い、今回、私は訪問を決意しました。
 以下、日・モンゴル関係を支える精神と「戦略的パートナーシップ」の発展について考えを申し上げたいと思います。

「3つの精神」

(1):自由と民主の精神
 「自由と民主の精神」は日本とモンゴルとの良好な関係と国民間の親近感の基礎です。

 モンゴルは、1990年以降、自由と民主を国家の基本理念とし、民主化と市場経済化を同時並行して行うという高い理想を掲げ取り組んできました。
 日本は、19世紀末、明治維新により政治体制を変革し、自由と民主という価値を取り入れ、試行錯誤を重ねてきました。
 日本が自らの経験を踏まえ、モンゴルの民主化を国際社会の先頭に立って支援してきた歴史は皆さんご承知のとおりです。

(2):平和の精神
 日本とモンゴルは、共に「平和の精神」に支えられています。
 平和こそが今日の国際社会の発展と繁栄の基礎になるものです。
 また、我々は、国際社会におけるすべての問題は「力」ではなく、平和的手段により解決されるべきだと考えます。
 両国は、国際社会において、力の一方的な行使による現状変更ではなく、「法の支配」を望んでいます。

(3):助け合いの精神
 日本とモンゴルとの関係は「助け合いの精神」に貫かれています。
 日本は世界有数の経済大国であり、世界に誇る先端技術を有しています。
 モンゴルは、世界にも類い希な若い人口と豊富な資源を有し、限りない成長の可能性を秘めています。
 日本とモンゴルとの協力は、相互補完的で、お互いにとってプラスになりうるものです。
 また、両国国民は、困難に見舞われたときに手をさしのべる「助け合い」の関係にあります。
 日本は、モンゴルの民主化の努力に対して、最大のODA供与国として一貫して物心からの支援を行ってきました。
 モンゴルからは、1995年の阪神大震災や2011年の東日本大震災といった我が国の自然災害に際し、温かい支援を頂きました。
 東日本大震災の際には、これまで国外に派遣されたことのないモンゴルの緊急援助隊が初めて海外派遣され、震災直後のまだ交通も混乱した状況の中で宮城県名取市、岩沼市等の被災地に赴き、緊急援助活動で活躍していただきました。
 また、モンゴルの全国家公務員がそれぞれ1日分の給与を寄付していただく等、官民を問わず、各界から温かい義援金を頂きました。
 モンゴル政府から外国における災害に対して提供した義援金としては、過去最大の額であったと聞いています。
 その他、毛布やセーター、靴下といった防寒具などの緊急支援物資も頂きました。
 モンゴル政府と民間の方々のご招待により、2011年4月から9月にかけて計4回にわたり多くの被災者がモンゴルを訪れることができました。
 日本のすべての国民に代わり、改めて感謝申し上げるとともに、これら支援をめぐる話の中には、自由と民主、平和、助け合いという「3つの精神」が溶け込んでいるかと思い、特にここで紹介申し上げます。

 今回、私は日本の総理大臣として7年ぶりにモンゴルを訪問します。
 このような機会に、私は、
 政治・安全保障、経済、人的・文化交流の3つの分野
で協力を推し進め、「戦略的パートナーシップ」を加速的に推進していきたいと思います。

(1):政治・安全保障分野の協力
 まず、「戦略的パートナー」であるモンゴルとの間では、政治・安全保障分野の協力を進めたいと思います。
 昨年の外交関係樹立40周年に際し、日本とモンゴルとの間では2度の首脳会談が行われました。
 近年、両国間のハイレベルの対話は活発化しており、今後ともハイレベルでの交流を様々な形で積極的に推進していきたいと思います。
 また、関係部門間でも、様々なレベルで戦略的な対話を進めていきたいと考えます。 
 また、モンゴルは二国間関係のみならず、地域・グローバルな課題において、価値観を共有するパートナーです。
 これまでも北朝鮮情勢、国連改革、気候変動、アジア太平洋地域における多国間の協力といった諸問題について協力をしてきました。
 更に多くの分野で協力、意見交換を行い、ますます緊密な関係を築いていきたいと思います。

(2):経済関係の更なる促進
 戦略的パートナーであるモンゴルとは、経済分野での協力も重要です。
 現在、日本では、経済の活力を取り戻そうと懸命な努力をしています。
 元気な日本、再挑戦のできる活力ある日本を目指しています。
 モンゴル語で「活力」は「エルチ(Erch)」、「エルチ・フチ(Erch khuch)」というようですが、経済や社会における活力が新しい未来を作っていきます。
 日本とモンゴルが貿易・投資を拡大することは、両国経済に活力を与えます。
 特に、モンゴルの強みともいえる豊富な鉱物資源において、協力を進めていきたいと思います。
 多くの日本企業が高い関心を有しており、日本からの投資が増加すれば、モンゴルの経済成長を力強く後押しすることになるでしょう。
 また、日本は、インフラ、エネルギー、環境、農牧業、防災、医療等の幅広い分野で、モンゴルの開発を支援しています。
 こうした支援は、モンゴルが資源のみに依存しない、多様な産業を育む国になることに貢献しています。
 そして、これは、モンゴルでの機会を拡大し、新しい投資の呼び水となり、モンゴルの更なる発展につながることでしょう。 
 こうした考えの下、私は明日の首相との会談において、新しい協力のイニシアティブを提案したいと思っています。

(3):人的交流・文化交流の活性化
 日本とモンゴルとの温かい感情的結びつきを支えるのは、両国国民間の交流です。
 モンゴルは、日本の大相撲にこれまで3名の横綱を輩出し、我々日本人にとっても大変親しみ深い国です。
 モンゴルでも日本語学習熱が高く、また様々な分野で1000名を超える留学生が我が国で学んでいます。
 留学生交流や青少年交流、民間友好諸団体による交流活動、議会間交流といった様々な分野での交流も着実に行われており、嬉しく思います。
 両国関係を更に発展させ、安定して良好な関係を維持していくためには、国民間の良好な感情が不可欠です。
 私としては、今回の訪問を機に、両国国民間の交流を更に強力に推し進めていきたいと思います。

 今、日本では、桜の花が盛りを迎えています。
 日本とモンゴルの良好な関係も、それを支える「3つの精神」も、一朝一夕に花をつけ咲いたのではありません。
 今回の私の訪問が、日本とモンゴルとの関係を飛躍させるために努力している両国民に春の温かい風となり、「戦略的パートナーシップ」に見事な花を咲かせるべく全力を尽くしていきたいと思います。


レコードチャイナ 配信日時:2013年3月31日 13時9分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=70869&type=0

安倍首相のモンゴル訪問、狙いは資源外交の推進―中国メディア

 2013年3月30日、中国新聞網は記事
 「日本の安倍晋三首相がモンゴルを訪問=狙いは資源外交の推進」
を掲載した。

 30日、安倍晋三首相はモンゴルに到着。
 2日間の外訪を開始した。
 06年の小泉純一郎首相(当時)以来の首相訪問となる。
 安倍首相はエルベグドルジ大統領とアルタンホヤグ首相、エンフボルド議長と会談する。

 今回の外報で主要な議題となるのは経済分野だ。
 経済連携協定(EPA)の交渉加速、さらには石炭などモンゴルの豊富な資源を共同開発することで、日本へのエネルギー供給の多様化を狙っている。

 安倍首相は訪問前にモンゴル紙に寄稿。
 「モンゴルの強みともいえる豊富な鉱物資源において、協力を進めていきたいと思います」
と資源外交への期待を表明している。


 安倍さんはしこしこと足元を固めていく。
 習近平はアフリカに資源外交しにでかけるのに、安倍さんは中国の隣のモンゴルへいく。
 モンゴルと中国の仲は親密である。
 そこへ出かけていく。
 中国の周りの国の大半を日本の友好国にしてしまおうという腹づもりだろう。



レコードチャイナ 配信日時:2013年4月2日 12時24分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=70936&type=0

日本の経済新戦略が明らかに、中国は軽視できず―中国紙

 2013年4月1日、深セン特区報によると、安倍首相がモンゴル共和国を訪問したことについて、少なからぬ中国人が
 「安倍政府は中国北方に足がかりを設け、対中国包囲網を築き上げようとしているのではないか」
と危惧している。

 実際には安倍首相のモンゴル訪問は石炭やレアメタルなどの資源確保が最大の目的であり、
○.日本の資源輸入ルートを多様化することと、
○.日本製品の輸出先としてモンゴル市場を成長させること
にある。
 麻生副総理謙財務大臣がミャンマーを訪問し、
 安倍首相がベトナム・タイ・インドネシアのアジア3カ国を歴訪したのも同様だ。

 また、技術的に絶対的な優位を保っている空気清浄機や工業廃水処理システム、土地汚染浄化技術などの環境保護関連製品の輸出を促す目的で、安倍政権は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加も進めている。

 同記事は、日本の経済新戦略は
①.近距離にあるアジアの新たな市場を開拓することと、
②.TPPへの参加、
③.環境保護製品の優位を高めること
の3点に集約できるとし、その歩みが着実に進められていることは軽視できないと指摘している。




サーチナニュース 2013/04/02(火) 09:42
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0402&f=politics_0402_002.shtml

日本が対中けん制にモンゴルを引き込むことは不可能だ=中国

  安倍晋三首相は3月30日と31日の両日、モンゴルを訪問した。中国網日本語版(チャイナネット)は1日、安倍首相のモンゴル訪問には3つの意図があり、日本の対中けん制にモンゴルを引き込むのは不可能だと論じた。
 以下は同記事より。

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  アナリストは安倍首相の今回の訪問には3つの目的があると見ている。
1つ目は、モンゴルの石炭やレアアースなどの豊富な鉱物資源を獲得すること。
2つ目は、モンゴルの政治・外交における支持を得てアジアでの孤立無援という状況を変えること。
3つ目は、モンゴルを引き込み、中国への戦略的包囲網を形成することだ。

  安倍首相は3月30日、モンゴルのアルタンホヤグ首相と会談し、双方は「戦略的パートナーシップ」を発展させることを強調した。

  「戦略的パートナーシップ」は、小泉前首相がモンゴル訪問時に表明した概念だが、中国社会科学院日本研究所の高洪研究員によれば、小泉前首相は当時、6億円の贈り物を用意し、多くの技術支援を承諾した。互いに物を贈るというのは基本的な外交マナーだが、日本はモンゴルから何を得たいのだろうか。

  安倍首相の訪問の最初の目的は、モンゴルの地下に埋蔵している豊富なエネルギーを得ることだ。
 北京大学日本問題専門家の王新生氏は、日本は多くの石炭資源を欲しているとし、
 「東日本大震災後、原子力発電所が相次いで停止し、日本は火力発電を行うために石炭を必要としている。
 日本は今回、世界最大規模と言われるモンゴルの炭鉱を開発してエネルギー需要を満たそうとしている」
と話した。

  エネルギー分野のほか、安倍首相は今回の訪問で両国の安全保障分野の協力を強化する方針も表明した。

  中国国際問題研究所の楊希雨氏によると、6カ国協議の参加国のほかに、モンゴルはアジアの安全保障に欠かせない国であり、日本はモンゴルと安全保障分野における協力関係を築きたいと考えている。
 これにより、日本のアジアにおける安全保障分野の地位と影響力が高まることは間違いない。

  また、日本はロシア・モンゴル、中国・モンゴルの間に入り込み、ロシアと中国が同地域において安全保障分野の協力を行い、枠組みを構築することをけん制したい考えだ。
 そのほか、安倍首相とアルタンホヤグ首相は会談中、米国を加えた3カ国間の事務レベルの政策協議を行い、政治や安全保障など幅広い分野について意見交換することで合意した。

  安倍首相のモンゴルに対する目論見は一方的な望みだろうか、それとも両国が望むことだろうか。
 高洪氏は、経済分野では後者、安全保障分野では前者だと分析する。

  高洪氏によると、モンゴルは地理的に2つの大国である中国とロシアの間にあるため、交わらずも重ならない隣国関係を望んできた。
 モンゴルはかつて、米国に目を向けたことがあり、日本もモンゴルを4番目の隣国にしようと積極的に動いている。
 この点から、両国の経済分野の協力は「戦略的パートナーシップ」を構築できる可能性があると言える。

  一方、高洪氏は
 「モンゴルは中国と多くの重なる淵源(えんげん)を有しており、中国に対する依存度もかなり高い。
 中国は巨大な存在であり、日本がモンゴルとの関係強化を通じて、わが国をけん制しようという考えはほぼ不可能だ」
と主張した。


 「日本がモンゴルを引き込むことは不可能だ」
 なんてことを中国が声を大にして言う必要のないことだ。
 中国がアフリカへ出かけている間に、ちょっと中国とモンゴルの間に隙間風を通してみよう、小さなクサビを打ち込んでみてみよう、といったところだろう。
 中国が足固めをせずにアフリカでフラフラしているスキをついた軽いジャブみたいなものだろう。




【中国はどこへむかうのか】


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