2013年4月5日金曜日

【中国の真実-2】 「PM2・5」深刻、「がんの村」100以上:公害大国日本技術が生きる




●中国では有害化学物質による水質汚染や大気汚染など環境関連の突発性事件が多発している。写真は鞍山市の学生たちが自分で作ったマスクで環境保護をアピールしている様子。


レコードチャイナ 配信日時:2013年4月5日 8時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=70894&type=0

<「中国の真実」2>
「PM2・5」深刻、「がんの村」100超す
―40年前の公害大国日本の技術が生きる

 中国では有害化学物質による水質汚染や大気汚染など環境関連の突発性事件が多発している。
 中国政府は第12次5カ年計画(2011~2015年)中に、人体や生態環境に深刻な影響を及ぼす化学・工業汚染物質3000種以上に対し、全面的な防止・改善措置を施す計画。
 中国には生産過程で使用する化学物質が登録されているだけでも4万種以上あり、うち3000種余りが危険な化学品とされる。

 環境関連の突発性事件は、今年だけでも、河北省長治市の工場で発生した芳香族化合物アニリン39トンの流出事件(そのうち8.7トンが川に流入し、流域で大規模な断水を引き起こした)や、山東省の一部の化学工場や製紙工場が人体に有害な汚染水を高圧を使って地下へ排出していた事件などが発生している。

 化学物質による環境汚染によって多くの地域で飲用水の深刻な汚染が発見されているだけでなく、がん患者が多発する「がん村」も全国に存在、その数は100カ所以上と言われる。

 「がん村」は当初、海外企業の工場立地が最も早かった東部沿海地域に集中していた。
 しかし、東部沿海地域の産業構造の調整や環境保護政策の強化によって環境汚染に関連する産業が内陸部へ移転し、それにともなって汚染エリアや「がん村」も内陸部へと徐々に拡大している。

 「ステンレスの村」とも呼ばれている江蘇省興化市史堡村。
 ところが数年前からがん患者が急増、重金属企業による汚染が疑われている。
 2006年には地元に大規模な重金属工場が建てられ、汚水が川を赤黒に変色。
 村民によると、史堡村ではここ数年でおよそ100人ががんにかかり、2010年だけでも10人ががんで死亡。
 うち、7人は肺がんだったという。

■数百人死亡のロサンゼルス光化学スモッグと同型

 中国科学院の特別チームによる研究結果によれば、北京市、天津市、および周辺の河北省の霧から、光化学スモッグに似た大量の粒子状物質が検出。
 その発生原因は工場や自動車の排気ガスと石炭燃料によるもの。
 汚染物質成分は20世紀半ばに米国で数百人の死者を出したロサンゼルス型光化学スモッグと同様の汚染物質に加え、中国の土埃が混ざったものという。

 光化学スモッグは、窒素酸化物や揮発性有機化合物が紫外線によって光化学反応を起こし形成された有毒な霧状物質である。
 同チームはこの大気汚染を「人が広範囲に排気ガスなどを撒き散らし、自然破壊を行ってきた結果」と位置づけ、工業排出と石炭火力の抑制、燃焼中に発生する汚染物質の除去、ディーゼル車やガソリン車の燃料の質改善―などを提案した。

 中国から微小粒子状物質「PM2・5」が偏西風に乗って日本に飛来し、肺や気管支の深奥まで入り込み、ぜんそくや肺がんを引き起こす恐れがあるとして大問題になっている。
 ジクロロメタンなどの有害化学物資も含有されている可能性があるというから怖い話だ。
 大阪の印刷会社で、従業員に胆管がんが多発し労災申請が相次いだのを受けて、厚生労働省の専門検討会が、インキ洗浄剤に含まれるジクロロメタンを高い濃度で長期間浴びると発症すると推定。
 印刷会社でのがん多発はこれら物質にさらされたと推定している。

 日本では1960~70年代に驚異的な高度成長を実現したが、この間に深刻な公害問題に直面した。
 大気や水質が工場から排出されたばい煙や廃液によって汚染され、四日市ぜんそく、イタイイタイ病、水俣病など数々の健康被害をもたらした。
 東京湾や有明海などの魚が激減したのもこの頃。
 産業革命をいち早く達成し、工業化した英国ロンドンでは1800年代に大気汚染が深刻化、多くの市民が呼吸系の疾患で命を落とした。
 英国、米国、日本など「公害先進国」は、総力を挙げて経済成長の弊害を乗り越えた。

 中国でもようやく公害対策に力を入れ始めた。
 北京市は、呼吸器などに疾患を引き起こす「PM2・5」を減らすため、旧式の自動車18万台を廃止することなどを盛り込んだ「2013年クリーン空気行動計画」を制定した。
 二酸化硫黄などの汚染物質濃度を前年度比で2%削減する目標を設定。
 具体策として排ガス対策が遅れている旧式の自動車を廃車するほか、450社以上の汚染源排出企業の閉鎖を盛り込んだ。
 また、車の通行規制を強化するほか、室内暖房を石炭に頼る家庭のうち4万4000戸を電化するなども決めた。
 野外での焼き肉露天商やごみ焼却などの規制も強化する。

 中国共産党政府にとっては、大気汚染問題の対応が後手に回れば国民の共産党指導部への批判が強まりかねず、喫緊の課題となっている。
 李克強首相は3月29日、首相就任後初となる地方視察訪問先の一つである上海市での座談会で
 「各レベルの政府は強い緊張感を持ち、人民の清潔な大気や水、食品安全の問題の対策をさらに進めるべきだ」
と、環境対策の必要性を強調した。

 日中経済協会(会長=張冨士夫元トヨタ自動車会長)は3月に日本企業約500社で構成する「中国大気汚染改善協力ネットワーク」を構築し、中国側に公害除去技術の供与を提案した。
 環境面での協力を通じ冷え込んだ日中関係の改善につなげたい考え。中国側も前向きな姿勢を示している。
 地球は文字通りひとつ。
 空も海もつながっており、環境問題こそ国を超えて協力し合いたい。
(八牧浩行)




レコードチャイナ 配信日時:2013年4月20日 23時35分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=71542&type=0

北京市民の環境意識低下、「PM2.5知らない」8割―中国

 2013年4月19日、北京環境保護宣伝センターがこのほど発表した「第9回公衆環境意識調査報告」によると、環境問題に対する北京市民の意識は2009年にピークに達した後、2012年まで年々低下している。
 一方、環境保護を意識した市民の実際的行動は小幅ながら増加している。
 環境問題のうち市民が最も関心を寄せているのは、水・大気・衛生に関する問題だが、「PM2.5という言葉を聞いたことがある」と答えた市民はわずか24.2%だった。
 新京報が伝えた。

■環境問題に対する意識が年々低下

 北京市環境保護宣伝センターは第三者機関である零点研究諮詢集団に委託し、公共環境に関する市民の意識調査を毎年実施している。
 環境に対する北京市民の意識を点数化したものを見ると、2007年以降、100点満点で70点から75点の間が続いている。
 6年間のうち、2009年に75.9点とピークに達した後年々低下し、2011年は72.2点、2012年は71.6点だった。

 気候変動、省エネ、ゴミ処理、環境汚染事件などと比べ、
★.大気の質(87.5%)、
★.環境衛生(62.9%)、
★.水環境(67.5%)
により高い関心が集まった。

 大気の質、水環境、ゴミ処理という3大問題に対する市民の関心は2011年より高まった。
 なかでも、2011年に34.5%だったゴミ処理問題への関心度は45.9%にまで上昇した。

■「大気の質」への関心高まる

 あらゆる環境問題のうち、大気の質に対する関心度が最も高く、2010年・2011年と比べ約14ポイント上昇した。

 一方、最近世間をにぎわせている「PM2.5」については、回答者の認知度は低いことが明らかになった。
 「PM2.5という言葉を耳にしたことがある」
と答えた市民はわずか24.2%、しかも、その人たちの中でPM2.5が大気汚染と関係がある用語であることを知らなかった人は半数以上に達した。

 環境情報の公開に携わる公衆環境研究センターの馬軍(マー・ジュン)主任は
 「PM2.5という言葉を知っている北京市民の割合は24.2%にとどまっているが、北京の総人口が2000万人であることを考えれば、この言葉を知っている人は実際かなり多数に上る」
と指摘。
 「2009年当時、環境問題に対する市民の意識はかなり高かったが、PM2.5という言葉を知っている人は極めて少なかったに違いない。
 しかし、その後2年間で環境を取りまく状況に巨大な変化が生じた。
 PM2.5はごく最近クローズアップされ始めた目新しい事象であり、それを知るようになった人はこの2年間で大幅に増加したことは確実だ」
と語った。

 馬主任はまた、PM2.5の危害、定義、予防などの具体的知識を市民に普及する業務を今後さらに強化する必要性も強調した。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集/TF)





【中国はどこへむかうのか】


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