2013年4月5日金曜日

解放軍が演習訓練の失敗事例を公開:日中開戦必至論が主流である時期に

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サーチナニュース 2013/04/05(金) 16:05
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0405&f=politics_0405_004.shtml

解放軍が演習訓練の失敗事例を公開。いずれも血の代償=中国報道

  中国国営・中国新聞社は5日付で、運営するニュースサイト「中新網」に
 「解放軍が演習訓練の失敗事例を公開。すべて血の代償」
と題する記事を掲載した。

  記事の冒頭は以下の通り。太文字で掲載した。

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  3月8日、夜間の緊急編隊が組織され、出動した。
 運転手8人は作戦方針をよく理解しておらず、予定の部隊と合流することができなかった。
 物資輸送のための車列は14日、“敵機”に爆撃された。
 避難方法が不合理で、現場は混乱し、半数近くの車両を破壊された。

  3月19日にも“敵特殊チーム”に襲撃された。
 指揮官が臨機応変でなかったため、またひどい目にあった……。

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  続く部分では一転して、3月27日からの演習の様子を紹介した。
 さまざまな困難に機敏に対応する部隊の描写が続く。
 その上で、旅団長が
 「始めたばかりの時は、問題も多かった」
と振り返る。
 そして、旅団長の「備忘録」に残されていた記述として、「車列が攻撃された」などの冒頭の部分が続く。

  さらに
 「訓練中ならば教訓だ。戦場だったら血の代償を支払うことになる」
との、旅団長の言葉を紹介。

  全体を読めば、「車列が受けた損害」とは、あくまでも「演習における“カウント”」であり、現実の被害ではなかったらしいと読める。
 しかし、中国新聞社の編集方法では、「演習中の失敗で多大の死傷者が出た」と、読者が誤解しかねない。

  中国新聞社は同記事について、中国・中央軍事委員会の機関紙である解放軍報からの転載と紹介した。
 解放軍報の原文記事は「急行し、かつ激戦する」との見出しだ。
 しかも、冒頭部分で記事中の一部をいきなり紹介するなどで、演習で事故が発生したと誤解されかねない形で掲載することはしていない。
 文章の流れで、
 「実戦だったら被害を受けたはずの失敗もあったが、最終的には改善された」
と読めるようになっている。

  中国新聞社の記事構成は明らかに、解放軍報が意図したものとは異なる。
 中国政府・国務院系のニュースサイトは、中国新聞社の配信記事をさらに転載した。

  中国のメディアは、当局の統制下にある。
 一方では、企業として生き残るために「収益をあげる」ことも必要だ。
 そのため、読者獲得のための、いわゆる「煽(あお)り」的な表現を用いることも、そう珍しくない。
 ただし、軍に対するイメージに悪影響を与えかねないような情報の扱いをすることはあまりない。

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◆解説◆

  日本では第二次世界大戦終戦までの経緯を含め、少なくとも主要メディアは、読者の好戦的気分を煽る報道の仕方を避けることが常識となっている。

  中国の場合、「軍事勝利で成立した政権」という事情がある。
 そのため、軍事力の発動に対する警戒心が乏しい社会的雰囲気がある。
 「戦争の加害者になる恐ろしさを知らない社会」
と言ってもよいだろう。

  政権の土台が「軍事力」であるという認識から、軍は社会的に「尊敬の対象」でありつづけねばならない存在だ。
 「軍の威信を傷つける報道は許されない」
ことは、メディアにとって“常識”でありつづけた。
 したがって、「演習中の失敗で損害が出ていた」と読者を誤読させかねない記事が発表されることは、これまでにあまり見られなかったケースと言ってよい。


 解放軍が意図的にリークしているようだ。
 その目的とするところは何か?
 まさか「解放軍とて無敵ではない」という宣伝でもあるまいに。
 日中開戦必至論が出ている昨今の情勢では、
 どう判断したらいいか?
 何かの煙幕か?
  解放軍が戦争をヤリたがっていないことは尖閣問題でみるように分かるのだが、果たしてそれをこういう形で表出するだろうか。
 政府かあるいは共産党内部に確執があるのだろうか。




【中国はどこへむかうのか】


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