●23日、OECDのグリア事務総長は、日本記者クラブで記者会見し、日本経済について「全力を挙げて景気回復を図らなければならない時に、中国、韓国と緊張が続いているのはタイミングが悪い。相互に対話し関係を改善すべきだ」と指摘した。
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ダイアモンド オンライン 2013年4月19日
http://diamond.jp/articles/-/34898
中国経済を「通過」せよ!
2015年、中国バブルは崩壊する
――大和総研チーフエコノミスト熊谷亮丸に聞く
熊谷氏が書いた『パッシング・チャイナ』(講談社)は、刺激的なタイトルで、話題になっている。
失われた20年で、一時期「ジャパン・パッシング」などと言われたが、なぜこの時期に中国の将来を大胆に予想した著書を出したのか、そのエッセンスは何かを聞く。
■中国の実態を身に沁みて感じた経験
――この刺激的なタイトルには、どういった思いが込められているのですか?
「パッシング・チャイナ」という構想は、私が長年温めてきたものです。
「バッシング」ではなくて「パッシング」――。
すなわち、中国を「非難」するのではなく、もう中国を「通過」「素通り」してもいいのではないか、という主張です。
われわれ日本人は「中国幻想」に振り回されるのではなく、もう少し気楽にいく必要がある、というメッセージが、この「パッシング・チャイナ」というタイトルには込められています。
日本のすぐ近くには、「南アジア」という巨大な潜在市場があります。タイ、インド、インドネシア、ミャンマー、ベトナムなどの国々です。
彼らは、戦後の焼け野原から不死鳥のように立ち上がり、アジアから初めて先進国の仲間入りを果たした日本人に対して、ある種の憧れを持っています。
極めて「親日的」な国が多いのです。
日本企業にとっては、中国に固執せず、「チャイナ・プラス・ワン」――つまりは、中国以外にもうひとつ海外拠点を作ることこそが喫緊の課題なのです。
――この本を書かれたきっかけは何かあるのですか?
数年前、中国に出張した際、北京から羽田に帰る飛行機が、定刻の出発時間を前に、離陸してしまったことがあります。
「百聞は一見にしかず」とはよく言ったものです。
このときほど、中国の実態を身に沁みて感じたことはありません。
日本の労働生産性が低いなどと言いますが、中国はその比ではありません。
この空港ではほとんどの人間が全然働いていない様子なのです。
空港の職員から荷物を取り戻す際にも、大きな発見がありました。
最初は、「荷物を返してくれ」と強く主張しましたが、何時間待っても全く進展は見られませんでした、そこで中国人は「面子」を重んじるという話を思い出し、ペコペコと頭を下げると、すぐに荷物は返ってきました。
この経験から、私は
「日本人は中国の経済成長を絶対視しているが、中国の実態はそれとはまったく異なる」
と確信したのです。
■中国経済は間違いなく「バブル」
――中国経済は「バブル」だと見ていますか?
中国経済は間違いなく「バブル」です。
2015年あたりからは、いつ崩壊してもおかしくありません。
中国にはリスク要因が山積しています。
①.第一に、1979年から採用された「一人っ子政策」による少子高齢化の進展が懸念されます。
②.第二に、中国の「政治リスク」も深刻です。
中国では政治指導者が交代する5年毎に混乱が起きる傾向があり、
将来的には中国共産党による事実上の一党独裁制が崩れる懸念が強まるでしょう。
③.第三に、「不動産バブル」の崩壊も心配です。
中国の経済成長モデルは、不動産価格の上昇による「錬金術」を中核に据えています。
驚くべきことに、地方政府の収入の6割程度が、不動産関連収入に依存しているのです。
④.第四に、中国では設備の過剰感が強まっています。
中国では、GDPに占める設備投資の割合が個人消費を上回っているのです。
他の先進諸国で個人消費がGDPに占める割合を見ると、米国で7割超、日本でも6割程度です。
しかし中国ではこの比率が35%に過ぎません。
⑤.第五の問題点は、賃金インフレの進行です。
中国にとってインフレは「天敵」です。
「インフレ」が進行すると、低所得階層の不満が爆発し、政治的・社会的混乱を伴いながら、経済が「ハードランディング」に至るケースが多いからです。
■日本企業が商売で勝つポイント
――しかし、中国経済を「素通り」して、日本経済は本当に大丈夫なのですか。
日本企業がその強みを発揮するための戦略的なポイントは、なんでしょうか。
日中関係の悪化は、最悪のケースでも、2013年度の日本のGDPを0.2%押し下げる程度の影響しかありません。
まさに、日本経済にとっては「蚊が刺した」程度の影響なのです。
日本企業は「技術で勝って、商売で負ける」と言われます。
マーケティング力が弱いというのが日本企業の致命的な欠陥です。
野球のピッチャーに例えれば「技術力」の高さは速い球を投げる能力です。
日本企業は時速150キロ台の剛速球を投げる能力を持っています。
しかし、韓国企業という、球速は時速130~140キロ台だが、絶妙のコントロール(「マーケティング力」)を有するピッチャーに苦戦しているのです。
今後の日本企業の戦略としては、剛速球に一層の磨きをかける(最先端の「技術力」を磨く)ことと、コントロールを良くする(「マーケティング力」を高める)ことの双方に、バランス良く行う取り組む必要があるでしょう。
■日本が採るべきは「中庸の道」
――今後の日中関係では、何が重要だと考えていますか?
今後、日本が必要以上に中国を挑発することは控えるべきですが、「反日デモ」にビクビクして中国の顔色を伺うような外交だけはやめた方がいいと思います。
「反日デモ」の本質はあくまで中国の国内問題であって、「反日」という要素は単なる口実・きっかけに過ぎません。
中国では汚職・腐敗の蔓延や、所得格差の拡大・固定化などを背景に、国民の間で、現状に対する不満や将来への不安が、制御不能なレベルに近づいています。
例えば、2012年に中国政府は治安維持に、軍事費を上回る7018億元(約9兆円)の予算を充てているのです。
日本がどれだけ気を使っても、残念ながら「反日デモ」はいずれまた起きるでしょう。
中国政府が、腐敗・汚職をやめ、所得格差を是正し、政治の民主化を行うことは、当面期待しづらいからです。
今後の日中関係に関しては、原理原則を貫くことと、リアリズムのバランスを取った「プラグマティック(実利的)」な対応を講じることが最大のカギです。
日本人が大切にしてきた「中庸の道」にこそ、日中間の懸案を真に解決する知恵が隠れているのです。
われわれは、等身大の中国を見失い、日本を過小評価してこなかったでしょうか。
今後、中国は「バブル」が崩壊し、政治的・経済的に大きな苦境を陥るでしょう。
これに対して、社会の安定性が強い日本は、「アベノミクス」の効果もあり繁栄を続けると見られます。
日本の未来は間違いなく明るいのです。
「おごる平家は久しからず」――「中国幻想」はもはや臨界点に達しています。
今、われわれ日本人は、「パッシング・チャイナ」という新たな決断を迫られているのです。
熊谷亮丸 くまがい・みつまる
東京大学大学院修士課程修了。1989年、日本興業銀行に入行。同行調査部エコノミスト、みずほ証券エクイティ調査部シニアエコノミスト、メリルリンチ日本証券チーフ債券ストラテジストなどを経て、現職。財務省「関税・外国為替等審議会」の委員をはじめとする様々な公職を歴任。過去に各種アナリストランキングで、エコノミスト、為替アナリストとして合計7回1位を獲得している。「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京系)レギュラーコメンテーター。著書に『日経プレミアシリーズ:消費税が日本を救う』(日本経済新聞出版社)、『パッシング・チャイナ』(講談社)など。
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「2015年に中国のバブルが崩壊する」
というのは、ジョージ・ソロスをはじめとして多くの識者が述べているところであり目新しいものでもない。
一方にはOECDのように2020年には中国はアメリカを追い抜くだろう、という説を唱えるところもある。
日本は自分自身がバブルを経験しているためにバブルに対して警戒感をもっている。
それがゆえにその予兆のようなものにはひどく敏感になっている。
おそらく日本は中国はバブルに陥り、それが弾けるだろうと見ている。
OECDの希望するような順調な発展はなく、バブルがはじけたあとは慢性的な不況におちいると予想している。
なぜなら、それは日本がたどってきた道だからである。
その経験がゆえに、日本は脱中国化を積極的に進めている。
安易に中国によりかかることは、手ひどいシッペを食らうことになる。
中国のバブルがはじけたときを想定して、できるかぎりの手を打とうとしているのが日本の産業界と判断していいだろう。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年4月23日 18時28分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=71629&type=0
中国・韓国との関係悪化、日本の経済成長を阻害
=早期の「改善」呼び掛け―OECD事務総長
2013年4月23日、来日中の経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は、日本記者クラブで記者会見し、超金融緩和を柱とするアベノミクスの日本経済への波及について、「経済成長が心配だ」と述べた上で、
「全力を挙げて景気回復を図らなければならない時に、中国、韓国と緊張が続いているのはタイミングが悪い。
相互に対話し関係を改善すべきだ」
と指摘。
中韓両国との関係悪化が日本の経済成長を阻害している、との見解を表明した。
2012年度の貿易統計によると、日本から中国への輸出は、尖閣諸島問題の影響などで、前年度比9.1%減の11兆3439億円に急減した。
日本の経済界には、最大の貿易相手国、中国との関係を早急に改善することが大きな成長戦略になる、との見方が多い。
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【中国はどこへむかうのか】
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