2013年4月4日木曜日

【中国の真実-1】:尖閣紛争は「環境汚染」が招いた! :川、湖、沿海の漁獲量が激減

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●驚異的な経済成長が続く中国だが、その「歪」ともいうべき「環境汚染」など多くの問題が深刻化している。中国の実態を伝える新連載企画「中国の真実」をスタートさせる。写真は広東省汕頭市貴嶼鎮の汚染された川。死んだ多くの魚が浮いている。


レコードチャイナ 配信日時:2013年4月4日 7時50分
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尖閣紛争は「環境汚染」が招いた!
―川、湖、沿海の漁獲量が激減

 驚異的な経済成長が続き、「21世紀はチャイナの時代」とも言われる中国だが、その実態は意外に知られていない。
 拡大路線の「歪」ともいうべき「環境汚染」「経済格差」などが深刻化している。
 さらにIT高度技術の発展によりネット人口が急増、世界最大のWeb大国となった今、様々な分野で地殻変動が起きている。
 RecordChinaの情報を駆使し、中国の真の姿を様々なアングルで伝える
 新連載シリーズ「中国の真実」
をスタートさせる。

 中国漁船が東シナ海の尖閣諸島海域で海上保安庁の巡視船に衝突した事件が2010年9月に勃発した。
 尖閣海域では中国から来た多数の漁船が操業しており、このうち日本の領海で操業していた中国漁船が巡視船に追われ体当たりしたのだ。

 中国の漁船群は尖閣海域から170キロも離れた福建省福州から長い時間をかけてやって来る。
 燃料コストと拿捕の危険を冒して尖閣海域に来て操業するのは何故か?
 福州の漁民を取材したところ、
 「福建省沿岸は魚の宝庫で漁港も多く、漁業で繁栄していた。
 ところが10年ほど前から、工業地帯からの排水により沿岸海域が汚染され漁獲量が激減してしまい、遠方の尖閣沖まで出かけるようになった」
と語った。

 地元の漁業関係者によると
 「中国人の好きな淡水魚が川や湖の水質汚染で食べられなくなったため、海鮮魚が高く売れるようになった」
という。
 中華料理で魚と言えば鯉など淡水魚だったが、中国の湖・池・川で魚の大量死が発生する事例は後を絶たない。
 中国沿岸各地の漁船は遠方の韓国近海まで出かけ、韓国警備当局とトラブルを起こしている。

 中国八大漁場の一つである海州湾漁場の港である江蘇省・連云港には、中国四大製塩場の淮北製塩場、中国最大の海苔養殖加工基地、車エビの養殖基地などが立地している。
 ところが、2005年末、漁場からわずか2キロの距離に約100社の化学工場群ができた。そのうち90%の工場は廃水を海に排出しているといわれ、海の汚染に繋がっている。

 日中間の緊迫化のきっかけなった「尖閣問題」も、中国の深刻な環境問題が絡んでいるというわけだ。
 実際、中国の環境汚染は深刻度を増している。

 3月中旬、上海の黄浦江に1万頭あまりのブタの死骸が漂着し、世界中が驚愕したが、中国の農村部で毎年1億9000万トンの生活ごみが発生、そのうちの大部分が未回収、あるいは不法投棄されている。
 河川や湖、運河などがその主な「ごみ捨て場」となっているというから汚染は深刻だ。

 生活水準の向上とともに、農村部の生活ごみの種類や量も激変した。
 昔は生ごみ、石炭やマキの燃えかすなどが主だったが、今ではプラスチックごみや衛生用品、家具などさまざま。
 以前の生活ごみは自然分解されるものが多かったが、現在の生活ごみは環境への脅威となっている。

 長江の三峡ダム上流では、毎年夏に15万から20万立方メートルのごみが回収されている。
 その大部分は上流区域の家庭から出る生活ごみだ。
 一部の都市では河川がすでに臨時のごみ捨て場と化している。

 今月、北京の故宮を取り巻く堀から、観光客が投げ捨てた1万本を超えるトウモロコシの芯が回収された。
 雲南省の麗江古城の水路はペットボトルや使い捨て食器でふさがれ、一部のホテルは油や洗剤で汚染された水を直接水路に流している。

 中国の法律では生活ごみや工業廃棄物を河川や湖、運河、水路、ダムなどに投棄することを禁じている。
 しかし、中国科学院農業政策研究センターが7つの省の約120の村を調査したところ、一部の地域で管理監督が行われていないことが判明。
 「ごみ収集の公共サービスのない農村では、農民たちは水路や田畑にごみを捨てるしかない」
と同センター研究員は語っている。

 中国国土資源省の研究機関の水質調査結果によると、北京市など中国北部の華北地域で地下水汚染が深刻化しており、地下の浅い部分にある水で直接飲用できるのは全体の22.2%にとどまることが分かった。
 華北地域の地下水の56%以上がろ過処理して初めて利用できる状態。
 水を採取した地点の35%が汚染されていた。
 華北地域は北京市、天津市、河北省、山東省など黄河北部一帯。人口約1億3000万人で、中国の重要な食糧、工業拠点となっている。
 華北地域の生活用水は75%が地下水に頼っている。
 中国の水資源は世界で最も貧しく、汚水排出量は世界で最も多い。
 中国の1人当たりの水資源量は世界平均の4分の1にとどまる。

■白濁し悪臭を放つ川

 水質汚染の実態を2つ挙げてみよう。
 新郷市鳳和泉区の村にある製紙工場は、主にトイレットペーパーを製造している。
 その製造過程において出る汚水は処理をされないまま垂れ流されていた。
 工場のすぐそばに畑があり、農家は汚水で農作物に水やりをしていた。
 以前、周辺の畑は地下の井戸水を使っていたが、製紙工場ができると、工場はさらに深い井戸を掘り、農民が使用していた井戸は枯れてしまった。
 工場に抗議すると、
 「工場内の井戸水及び処理後の水を使ってもよいが使用料が発生する」
との木で鼻を括ったような応対。
 一部の農民は節約のために汚水を使っている。
 しかし、汚水で育った麦などの農作物は自分たちが食べる分は残さず、全て売っていたというから、消費者は汚染農作物を購入していたことになる。
 同製紙工場は生産停止を言い渡されたという。

 北京市郊外の朝陽区管庄郷に、工場排水やゴミなどによって白濁し悪臭を放つ川がある。
 村人はこの川を揶揄(やゆ)し「牛乳川」と呼んでいる。
 村人は
 「川が臭い。この20年ずっと続いている。
 工場排水に生活汚水、大便なんかもし尿も流す。
 お上に何度も訴えたが、何も変わらない」。
 川は約3キロにわたって白濁し、黒い泡が浮かんでいた。
 ビニール袋、紙くず、布きれなどの生活ゴミであふれている。
 汚染は川下にいくにつれひどくなり、動物の死骸まである。

 村人によれば、20年前に汚染が始まる以前は、川は夏になると川底まで見通せるほど澄んでいたという。
 かつて人々はここで魚を釣り、洗濯や野菜を洗って暮らした。
 だがもうここで魚を見ることはない。

 行政機関は、農村部の周囲で急速に都市化が始まったため、下水管の整備が追いつかずに汚染が発生したと弁明している。
 中国でかつての青い空と清流を取り戻す日は来るだろうか。
(八牧浩行)




レコードチャイナ 配信日時:2013年4月5日 14時49分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=71000&type=0

中国の工業廃水汚染が極めて深刻、グリーンピースが指摘―仏メディア

 2013年4月2日、仏国際ラジオ放送ラジオ・フランス・アンテルナショナル(中国語サイト)によれば、
 中国において工業廃水による土壌・水質汚染が極めて深刻な状況になっていると、国際環境NGO・グリーンピースが指摘した。

 中国は2001年以降、リン酸肥料の生産が倍以上に増え、世界シェアの40%を占める最大の生産国となっている。
 しかし、現在は生産過剰となり、さらに生産の過程で排出される高濃度のリン酸石こうが違法に貯蔵・処理をされることで深刻な汚染を引き起こしているという。

 仏AFP通信がグリーンピースの報告書を引用して伝えたところによれば、
 中国は少なくとも「3億トン」に上るリン酸石こうを保有している。
 同団体は土壌や水源、大気をさらなる汚染にさらすことになる3億トンもの有毒物質を放置しないよう、中国政府にこの問題に注意を払うように呼びかけているという。





【中国はどこへむかうのか】


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