2013年4月30日火曜日

ボランティアの力を懸念する中国政府:全能の党、共産党の能力が見えてしまう

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●中国南西部・四川(Sichuan)省の蘆山(Lushan)県で20日発生した地震の死者・行方不明者は、22日までに200人を超えた。被災地では夜を徹しての救出活動が続いているが、山間部の被災地に入る道路は渋滞が激しく、救援は難航している。
現地では余震が1700回以上起きており、地元住民の男性はAFPの取材に対し「この地域は危険すぎるので、みんな、もうここには住みたくないと言っている」などと話した。
写真は、四川省蘆山県に入る大勢のボランティアを乗せたトラック(2013年4月21日撮影)。(c)AFP


JB Press 2013.04.30(火) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37683
 
ボランティアの力を懸念する中国政府
(2013年4月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 2008年に地震が中国・四川省を襲った時、ボランティアと急遽結成された市民団体が現地に押し寄せ、救援活動で大きな役割を果たした。
 だが、2カ月ほど経つと、多くの人は被災地から去るよう命じられた。
 中国政府は、独立系の集団が支援活動を組織し、その結果、伝統的に政府の領分だった縄張りを侵害することにうんざりしたからだ。
 
■被災地から締め出されたボランティア

 今回、4月20日に地震が四川省を襲うと、政府は当時よりずっと素早くボランティアや慈善団体、支援金の流入の統制に動いた。
 震災の翌日、ボランティアや市民団体は、中国国務院(内閣に相当)の許可証なしで被災地に入ることを禁じられた。
 政府にとって、こうしたボランティア団体は支援を意味するだけでなく、微妙な政治的課題でもある。
 中国では、統制を試みる政府の努力にもかかわらず、市民社会と市民の関与が勢いを増しているからだ。

 20日の四川雅安地震は、ソーシャルメディアのおかげで、こうした市民団体がいかに容易に活動を組織化し、いかに素早く大きな支援を得られるかを見せつけた。
 ボランティアは学生から医療の専門家、キリスト教団体に至るまで様々だ。
 20日の地震の直後、中国各地の人々は3億人以上の会員を擁するメッセージングサービス「微信」にアクセスし、家族と連絡を取ったり、何か支援できないか確認したりした。

■ソーシャルメディアで迅速に支援

 微信上で結成された支援団体の1つが「420聯合救援行動」。
 四川省内の20余りの非政府組織(NGO)が緩やかな連携を図った団体で、団体名は地震発生日の4月20日にちなんで名付けられた。
 このグループの調整役を務めるフー・ヤン氏は
 「地震が起きた時、当初は電話やテキストメッセージが使えなかったが、微信は動いていた」
と言う。
 同グループは20日の午前10時、地震発生からわずか90分後に物資を求めるメッセージを投稿し、同日内にトラックいっぱいの救援物資の第一弾を現地に届けた。

 だが、国務院の発表以来、市民団体は被災地に入る許可を得るのに苦労している。
 「我々のところでも許可証は限られている」
とフー氏は言う。
 「実際、許可証を1つも得られず、口論している人を見かけましたよ」

 封鎖の表向きの理由は、地震が襲った山間部の狭い道路での交通渋滞だ。
 だが、渋滞の多くは、狭い道を走る大型の政府車両と交通の調整不足によって引き起こされていた。

 一部には許可制度を擁護する向きもある。
 政府系の大手社会福祉機関の開発担当者、ジェン・イーリン氏は、被災地には700以上の団体が入っているが、必要な知識と訓練経験を持ったところは20%しかないと指摘。
 さらに、「多くのボランティアは全く無目的でやって来た」と言う。

 だが、多くの人が見るところ、もっと重要な封鎖の理由は、
 政府が救済者という地位の独占を維持したいと考えていること
だ。

■地位を守りたい共産党、一般市民はもっぱら民間基金に寄付

 中国政府は、2008年の地震後の市民の援助のうねりを避けたいと思っている。
 当局が気付かされたように、こうした力はひとたび解き放たれると、再び封じ込めるのが難しい。
 一部の慈善団体は、地方の役人たちが隠しておきたかった事実を暴き、地方政府の悩みの種になっている。

 慈善メディア「慈善家」の創業者であるワン・リウェイ氏は、中国政府は2008年のボランティア「ブーム」の再来を防ぐのに躍起だと話す。
 その理由の1つは、政府としては、その他の団体の活動の横で自分たちの救援活動がお粗末に見えるのを嫌がっているからだという。
 かなり斜に構えた見方に思えるかもしれないが、中国の一般市民も同じように不信感を抱いている。
 市民はもっぱら民間の基金や慈善団体にお金を寄付しており、汚職と透明性の欠如を懸念して、中国赤十字など政府と関係のある団体を避けているのだ。

 自然災害は多くの場合、共産党のプロパガンダの好機になる
 だが、市民活動の高まりは、党の権力支配に対する根本的な脅威だ。
 というのも市民の活動は、全能の党が導いてくれなくても、個人がどれだけのことを成し遂げられるかをはっきり示すからだ。

By Leslie Hook in Beijing
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【中国はどこへむかうのか】


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